5.22 先生設定の
「土方先生。俺、アンタと飲むようになってからだんだん・・・・・好きになってたみたいです」
隣のテーブルでは家族連れの子供が、床につかない足を持てあましている。
店員がかちかち、グラスの回収にまわっている。
騒がしい夜の居酒屋で、ネクタイなんかをなおしながら服部を見ていた土方は、ぽかんとして咳きこんだ。
「ぐ、ゴホッ・・・・いま何て言いました?」
水を飲むのも忘れて眉をあげたら、彼は焼き鳥片手にこっちをみている。
「聞こえませんでした?」
「・・・すみません、幻聴は聞こえた、好きとか聞こえた」
「そう言いましたよ。どうしてくれるんですか」
そのままするっと次の串へ伸びる指さきは、いつも通りの同僚だ。
「・・・・頭、打ったんです?」
「なんで本気の心配顔? 俺が好きになっちゃ、いけません?」
なにこの人、こうみえて徹夜がひびいてる?と凝視すると、彼はこちらの反応にハテナを浮かべて、さっきからマヨネーズを少しつけている。
・・・・・あっ、マヨネーズの話。
「いや俺の方が大好きだっつの♡」
「知ってますってば♡」
もーーーーー♡♡♡
っていう! CM!
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4月の結婚式だ。
坂田と高杉は「今度の天皇賞の」と言いながらトイレに入ってきた。
その後で土方が入ってきて、三人の目が合い、「おー」「おうー」と声が混じる。
「お前、ハンカチ出てんぞ」
「喫煙所あった?」
「さっきから俺、くつ下が」
すぐにまた水音や、服の音が交差して、きれいな靴がひしめきあう。
土方の地味なスーツに首をかたむけ、「一人だけ、かぶき町ぽくない」と言う気だるげな銀髪の後ろから、「カタギ気どりか?」と高杉が顔を出した。
2人の靴から星のような光沢が生まれて、かつんかつんとぶつかっている。
「式のことで昨日電話したのに、何やってた土方」
「縛られて懇願してた」
「助けてくれって?」
「いや、イかせてくれって」
「またうちの店?」
「バカみてえな惑星の名前の?」
「昔からバカだったが」
「お前に比べれば・・・」
「はは!」
ふー、というため息が鏡のなかにあつまり、ふー、ふ、と笑い声の吐息がのびた。
「金時に土方の性癖バレたときのことが腹痛い」
「『じゃあもう一発蹴っとくか』」
「どこが一発だった?」
「うるせードM」
「なあ、あれからたまにヤってたろう」
蛇口の水へかがみながら坂田はさらっと言ったが、いっしゅんだけ空間に穴があく。
「・・・誰に聞いてる?」「さあ」と土方高杉の声が聞こえたあと、会話はすぐにいつもの顔をした。
「しかし、金髪に白タキシードっていかつい新郎」
「キル・ビルみてーになったらどうする」
「バっカかよ」
「くだらねェ」
低く笑う3人の、靴先が出口へむきはじめる。土方が、ふと、まぶしそうな瞳を小窓へあげ、まつ毛がひかりにすけた。
やさしく痛い春の陽ざし。
「晴れてよかったな」
そう言って先に出ていく土方を、坂田はすこし口をひらいて見送った。
「・・・本心で言ってんだろうなぁ、手に負えねェよ」
「SMプレイの時は泣けるんだぜあれ」
「昨夜も店の男にひざまずいて嗚咽かァ」
「そう」
「燃えるな」
「いい天気だ」
あの子の金星/金←土
後日
土方「痛けりゃいいってもんじゃねーぞ、
何を置いてもシチュエーション
シチュエーションが全てだ
それさえ好みに設定されれば、縛りも挿入もいらねえし、
どれだけ単調な刺激でも最高の絶頂を迎えるし、
けど、俺は眼鏡女じゃねーからな、
言っとっけど、普段の生活とプレイは違うから、
ノらねーときに『おいブタ』とか言ったらスカイツリーから3回つき落とすから、
理想と要求はんぱねーから、
だから、金払って店行ってっから俺」
(銀ちゃんに「俺Sだし俺とする?」って言われたあとの足組んでタバコの煙吐くまでの土方のセリフ)
こんだけゆっといて、銀ちゃんに一言「黙れよ」っていわれれば、どうせきゅんするから世界のすみっこは上手くできている
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